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東京タワーの鉄塔は天と地を結ぶ橋であり、鳥居の朱色に塗られた、
あの世とこの世を結ぶ橋なのだ。
その昔、密教の教えは南天の鉄塔のなかで龍樹菩薩に伝えられたという。
アースダイバー式思考法(密教的思考法)は一つのものを一つとは見ない思考法だ。
認識が世界を作っているのだから。
せっかく復興を遂げ始めていた東京に、今度は水爆実験で目ざめた怪物(ゴジラ)が上陸して
威勢のいい破壊をほしいままにしていった。
それを見ていた人々はなんとなく、スカッとしたところを感じていた。
この都市に住む人々は建物が出来ていくそばから、それがまた破壊されていくのを楽しんでいるところがある。
東京という都市にはどうやら死の衝動(タナトス)が潜んでいるらしい。
東京タワーにたどり着くためには、どの方向から目指しても、
大なり小なり墓地のそばを通り抜けなければならない。
コンクリートで出来た鳥居をくぐり、増上寺の脇を過ぎ、お地蔵さまを眺めると、
南極に置き去りにしたカラフト犬の荒御霊(あらみたま)の鎮魂碑が目に入る。
中空での展望を終えて下りのエレベーターに乗る。
エレベーターの上昇と下降がギロチンの断頭台を連想させた直後に、
エレベーターは三階のマダム・タッソー由来の、蝋人形館の前に止まる。
都市生活の真っ只中に、こんな形で生と死が一体になった不思議な混在物が人目にさらされている場所は、
他にはめったになくなってしまった。
東京タワーの一角に、こんな素敵でいかがわしい見世物を持ち込んだ興行主の天才に、
深い感銘を受けざるをえない。
シャーマニズムとミイラ技術が、この鉄塔を通して一つに結び合っている。
なんとこの鉄塔は古代エジプトの宗教思想にも、深い地下水脈でつながっている。
生命は死に触れているからこそ豊かなのである。
死とのふれあいを失った生命は、もはや別の意味での死を生きることになる。
宗教というのは生と死が別々のものでなく、二つが一体となって、この豊かな現実は
つくられていると教えてきた。
東京タワーはその存在自体が一つの生きた宗教的思考なのである。
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