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翌日も暗い内に起き、朝食もそこそこに出発です。
「ゆっくりと歩いて、決して座らない。立って休め。座ると起きあがれなくなるから。」
これがシェルパのペンバのアドバイスです。
忠告に従いゆっくり歩き始めました。
2時間ほど歩くと後から来たヤクと馬に抜かれます。
馬を雇ったTさんとAさんは馬で行けるのです。
私の足は皆の列から遅れ始め、気付くと最後尾を歩いています。
自分では精一杯歩いているつもりですが、足が進まないのです。
その内に吐き気がしてきて、高山病の初期であることに気付きました。
急坂を峠に向けてジグザグに向うと、上部は雪が凍結して残っています。
倒れるように岩に腰を降ろして休んでいると、
峠まで行ったガイドが戻ってきて荷物を持ってくれました。
彼の助けを借り、なんとかドルマ・ラ峠5630mにたどり着きました。
ドルマ・ラ峠はカイラスに住む神々との交流の場です。
祈願がかなう場所ということで、私達はタルチョ(五色旗)に、日本の友人達から
「世界平和祈願」の署名を書いてもらい多数持ってきました。
ところが、座りこんだ私には自分でオボに縛る力は残っていません。
シェルパのペンバを呼んで彼に頼みました。

記念の写真もそこそこに、私は急坂の下りを駆けるように下ってしまいました。
高山病は低いところに行けば症状は良くなるのです。
2時間下ってシャブジェ・ダクトクに着くとヤクの部隊に追いつきました。
すぐに酸素ボンベを出してもらい、吸い始めるとめまいも収まり始めました。
「コバヤシ、具合が悪かったのか?」
ペンバは駆け下りている私を見て調子がいいと思ったそうです。
酸素を吸っている私を見て、Aさんが馬をゆずってくれました。
ここから1時間、ズトゥプクのキャンプ地まで馬の旅。
どうやら高山病の苦しさも収まったのでした。
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